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こうなっていた「景気」のしくみ

景気が悪いとはどういうことか

私たちはふだん何げなく「景気が悪い」という言葉を使っている。
でも、「景気が悪い」とは、どんな状態のことなのだろう。

「景気が悪い」ことを「不況」とも言う。「景気が悪い」とだけ言うと、個人のことも含まれるが、「不況」という表現を使うと、経済全体のことを指す。
経済ニュースを理解するうえで、むずかしいのが景気の問題。個人にとっては、給料が上がったり、持っていた株が値上がりすれば「景気がいい」ことになるし、ボーナスが減ったり、なくなったりすれば「景気が悪い」ことに。会社にしてみれば、商品の売り上げが上がって利益が増えれば「景気がいい」ということになるし、売り上げが落ちて利益が減れば「景気が悪い」ことになる。

これを一つの国で見ると、国民の収入が増えれば、固に入る所得税も増える。商品が大量に売れれば、消費税がたくさん固に入り、国の財布は豊かになる。これは、国として「景気がいい」ことになる。反対に、個人や企業の収入が減れば、国の税収も落ち込み、国の「景気が悪い」ことになる。

つまり、個人の実質的な収入や企業の利益、国の税収が、全体として上向きになれば「景気がいい」と表現し、下向きになれば「景気が悪い」ということになる。経済全体の好不調、上向き・下向きの流れを表現するのが「景気」というわけなのだ。

左右される景気

「景気」という言葉には「気」という文字が入っている。この言葉が示す通り、景気は人々の「気」分によっても左右される。世の中の景気が悪いと、本人の収入が減っていなくても、なんとなく無駄づかいをやめたり、一方、景気が良くなると、なんとなく気が大きくなって、個人消費は拡大し、景気はさらに良くなっていく。景気は「気」に左右されるのだ。

そして、景気は天「気」にも左右される。景気のためには暑い夏と寒い冬がいい、と言われます。暑い夏が続けばエアコンや扇風機が売れ、ビールやアイスクリームが売れ...と、景気に好材料になる。寒い冬も暖房器具が売れ、冬物コー卜やスキー用品も人気商品になるなど、好材料がたくさんある。
逆に、冷夏と暖冬は景気の敵。夏物や冬物の商品が売れなくなってしまう。このため夏物や冬物を作るメーカーは、気象庁発表の長期予報をもとに生産計画を立てる。さらに、現在では、気象庁の長期予報だけに頼らずに民間の気象情報会社と契約する企業が増えている。民間の気象情報会社は、日々の予報の情報も企業に売っている。たとえば、各地のコンビニエンスストアには、本部から毎日「天気予報」が送られてくる。翌日寒くなるという予報が出たら、おでんを少し多目に用意しておこう、暑くなるのであれば、アイスクリームを大量に仕入れようという行動に出る。景気はまさに、天気にも左右されるのだ。

「需要と供給」の関係で決まる景気

こうして見ると、結局、景気は需要と供給の関係で動いているのだということがわかる。商品をほしい人がたくさんいる(需要がある)という状態であれば、商品の生産が増える。つまり「供給が増える」。
やがて商品をほしい人以上に生産が増え(供給が上回り)、景気は失速する。その後、供給は、もともとの需要に釣り合うまで減ることでバランスが回復し、再びゆっくりと景気は回復に向かう。
最近の不況は、職を失う人や、給料が減る社員が増えることで社会全体の需要(総需要) が減ったために、より深刻なものになっている。「需要と供給」の関係でモノの値段が決まるように、景気も「需要と供給」の関係で決まるのだ。

景気を判断する客観的データは?

では、その景気を判断する客観的な数字には、いったいどんなものがあるのでろうか。
さまざまな経済活動を数字で表しているものをまとめたのが、内閣府が毎月発表している「景気動向指数」また、経済界の人々の「気」持ちをまとめたのが、三カ月ごとに発表される「日銀短観」。日本銀行がまとめて発表している。
まず「景気動向指数」とは、景気と関係の深い経済データについて、三カ月前と比較してチェックする。データは全部で30項目に上り、今後の景気の様子を占うことができる「先行系列」と、景気の現状を示す「一致系列」、それに過去の景気の様子を示す「遅行系列」の三種類に分けることができる。
「先行系列」としては、新規の求人数や住宅建設の着工床面積など11項目。
「一致系列」は、大口の電力使用量や工場での残業時間など11項目。
「遅行系列」は、家計の消費支出や完全失業率など8項目ある。
「先行系列」の11項目について、3カ月前に比べて良いものをプラス、悪いものをマイナスと考え、プラスが多ければ、「景気は良くなる」と考える。また、「一致系列」もプラスが多ければ、「景気は回復した」と判断する。

「日銀短観」とはアンケート調査

一方、やはり経済ニュースにしばしば登場するのが、日本銀行が3カ月に一度出している「企業短期経済観測調査」(日銀短観)。「日銀短観」は、発表されるたびに大きなニュースになるが、実は、経営者の「気持ち」をアンケート調査するという単純なもの。しかし、景気は「気」に左右されるので、今後の景気の動きを予測するうえで参考になるデータなのだ。
調査は、全国の企業を大企業、中堅企業、中小企業の三つに分け、さらに製造業と非製造業に分けて、経営者にいまの景気が「良い」か「悪い」かを尋ねるというもの。
回答のデータは、「良い」と答えた比率から「悪い」と答えた比率を引き、プラスなら「景気は上昇」、マイナスなら「景気は悪化」と考える。実に単純なやり方ですが、景気が「良い」と思っている人が多ければ景気がいい、という明快な構造になっているのだ。